ポン酒会

ABOUT SAKE

日本酒のこと

ラベルに書いてあることの意味が分かると、次の一本の選び方が変わります。
会で実際に開けた酒に沿って、順に見ていきます。

一 / 名前の読み方

七賢 阮咸、新政、二兎のラベル

「純米大吟醸」「特別純米」といった呼び名は特定名称といい、 国税庁の基準で要件が決まっています。決め手は2つだけです。

いずれも麹米の使用割合は15%以上。純米酒の精米歩合の規定は2004年に撤廃されたので、 いまは「純米」と名乗るのに削る量の下限はありません。

醸造アルコールは水増しのためではなく、香りを引き出し味を締めるために加えます。 「純米が上」ではなく、狙いが違うだけです。

二 / 火入れ

新政 紫八咫のラベル。生酒 常時・要冷蔵と書かれている

しぼった酒は、ふつう60〜65℃の加熱(火入れ)を 貯蔵前と瓶詰め前の二度行います。この回数とタイミングで呼び名と味が変わります。

生酒
0回
一度も加熱しない。要冷蔵。開けた瞬間が最も華やか
生貯蔵酒
1回(瓶詰め前)
生のまま貯蔵する。生酒に近い香りが残る
生詰め酒
1回(貯蔵前)
貯蔵中に熟成が進む。ひやおろしはこれ
火入れ酒
2回
貯蔵前と瓶詰め前。味が安定し、常温で置ける

紫八咫のラベルにある「生酒 常時・要冷蔵」は、一度も火入れしていないという意味です。 秋の「ひやおろし」は生詰め酒で、夏を越して丸くなったものが出てきます。

三 / 温度

紫の照明の店に置かれた而今と、注がれた猪口

同じ酒でも、温度で別物になります。日本酒には温度ごとに名前が付いています。

雪冷え
5℃
香りは閉じ、輪郭だけが残る
花冷え
10℃
吟醸香が立ちはじめる
涼冷え
15℃
香りと味が最もほどける帯
冷や
20℃前後
常温。冷やした酒のことではない
日向燗
30℃
温度を感じない、香りがふくらむ
人肌燗
35℃
米の香りが出る
ぬる燗
40℃
旨味がいちばん開く
上燗
45℃
香りが引き締まる
熱燗
50℃
辛口に感じる
飛び切り燗
55℃以上
香りが立ち、味は軽くなる

紛らわしいのが「冷や」で、これは常温のことです。 冷蔵庫で冷やしたものを頼むなら「冷酒」と言います。 迷ったら、まず冷やして飲み、残りを常温に戻してみてください。ひとつの瓶で二度楽しめます。

四 / 酒母

酵母を育てる元を酒母といいます。 雑菌を抑えるために乳酸が要るのですが、その集め方に流儀があります。

速醸
約2週間
乳酸を添加する。約2週間。いま造られる酒のほとんどがこれ
生酛
約1か月
蔵に棲む乳酸菌を待つ。山卸(櫂ですり潰す作業)を行う
山廃
約1か月
生酛から山卸を省いた方法。1909年に確立された

新政は全ての酒を生酛で仕込んでいます。手間と時間をかける分、 酸がしっかり出て、味に芯が通ります。ラベルに「生酛」「山廃」とあったら、 少し温度を上げて飲んでみると持ち味が出ます。

五 / 米

而今の八反錦と山田錦を並べたところ

酒米は食べる米とは別の品種です。粒が大きく、中心に心白という白く不透明な芯があり、そこに麹が入り込みます。

山田錦
兵庫が主産地。酒米の横綱。線が太く、味に幅が出る
五百万石
新潟・北陸。淡麗ですっきりした酒になる
美山錦
長野生まれの寒冷地向き。軽やかで涼しい味わい
雄町
岡山でほぼすべてが穫れる古い品種。濃く、旨味が深い
八反錦
広島。柔らかく穏やか
秋田酒こまち
秋田。すっきりとして雑味が出にくい
露葉風
奈良で唯一の酒米。風の森が使う

同じ蔵の同じ造りで米だけを変えた酒が並ぶことがあります (而今の八反錦と山田錦のように)。飲み比べると、米の違いだけが浮かび上がります。

六 / 変わり種

桃色のにごり酒を注いだグラス
貴醸酒
仕込み水の一部を、水ではなく酒で仕込む。 糖が残って濃厚な甘口になる。会で開けた新政の紫八咫は「再仕込貴醸酒」で、 貴醸酒でさらに貴醸酒を仕込んだもの。デザートのように少量で味わう酒
にごり酒
目の粗い布で漉し、醪を残したもの。甘く、とろりとする。 瓶内で発酵が続くものは開栓時に噴くので、冷やして少しずつ栓を緩める
古代米酒
赤米や黒米で仕込む。淡い桃色や赤みを帯びる。伊根満開がこれにあたる
ひやおろし
冬に搾って一度火入れし、夏を越して秋に出す生詰め酒。角が取れて丸い

七 / 会での作法

出典